カオス レギオンの小説版とか、シュピーゲル・シリーズのようなライトノベル作品が若い人の中では比較的知っている方も多いのではないでしょうか。
様々なシナリオや小説を執筆されている「冲方丁さん」が
先日、二次創作解禁をブログで発表されました。
二次創作解禁というと、先日紹介したニトロプラスさんの
ような、厳しい解禁が最近では多いんですよね。
■参考記事
ニトロプラスさんの二次創作に注意 結構厳しいガイドラインです
なんですが、今回の冲方丁さんの解禁は、
「出版社などが主催する新人賞に応募しても良い」というのが
設定されているほど、二次創作クリエイターにとっては
嬉しいプラス面の強い開放です。
というのも、冲方丁さんは以前から二次創作のグレーゾーンな
現状に対して、すごくしっかりと考えていられる方なんですよね。
個人的に冲方丁さんの考えは賛同している面が多いので、
今日は冲方丁さんの二次創作解禁の紹介だけではなく、
皆さんにこういう二次創作の考えた方をされている人も
いるんだよーというのを紹介させて頂ければと思います。
■元ネタ(冲方丁さんブログ、ぶらりずむ黙契録より)
2014年7月17日木曜日 ☆本日のお話・二次創作について考えた~☆
2014年7月21日月曜日 ☆本日のお知らせ=「一分でわかる冲方作品動画の募集」プレ告知
おまけ=二次創作について考えた「ホールドアップ編」☆
詳細な二次創作に関する規約としては、下記のように制定されています。
重要そうな部分ですので、引用させて頂きます。
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【~について:最初の一歩としての二次創作全面解禁】
まず二次創作について、可能な限り契約書の発行といった法務をなくし、利用規約に基づく活動を全て自動的に許諾するかたちをとる。
そのための主な規約は、下記を主眼とする。
1)許諾する一次創作作品を限定し、所定のサイトもしくは発行物において発表します。
2)二次創作者は、二次創作作品の冒頭(表紙、紹介文第一行、冒頭部分、その他最初に目にする場所)に、『これは○○(許諾された一次作品タイトル・発行・著作者)の二次創作です』と、一次創作作品との関連について、誰もが見て取れるかたちで明記する。
3)一次創作者への許諾の対価は「一次創作作品のソースの拡散」とみなし、それ以外の対価は要求されない。
4)上記をまっとうしないものを二次創作とみなさず海賊版として扱う。さらに、二次創作者に、下記二点を定める。
5)二次創作作品の製作・販売・配布・上映等に伴う責任は、全て二次創作者が負う。
6)二次創作作品の著作権は、二次創作者に帰属し、そのいかなる利益も許諾する。つまり、二次創作によって利益や評価を得ることを認めるだけでなく、「新人賞への応募」なども許諾するということです。
(冲方丁さんブログ、ぶらりずむ黙契録。☆本日のお話・二次創作について考えた~☆より引用。2014年7月23日9時45分)
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今回のポイントとして、私が理解した内容としては以下のとおりだと思います。
(個人的な見解ですので、違うんじゃねぇ?とかあれば、指摘頂けると嬉しいです)
1.全ての作品ではなく、所定サイト等で許可した作品のみ
「許諾する一次創作作品を限定」とありますので、サイトとか
冊子内とかで「二次創作OKだよー」と書かれた作品のみということでしょう。
これは、原作者だけではなく、出版社とかにも権利があるため、
全ての作品が許可されたわけじゃないよということでしょう・
2.冒頭に二次創作であることを明記。しない場合は全て海賊版とする
二次創作の冒頭にしっかちと二次創作であることを明記しないとダメっ!
ってことですね。元々二次創作が許可されにくい理由の一部に
「元ネタをそのままパクられて、二次創作にされたらイヤ!」
という考え方もあるので、最初にしっかりと書きましょうという内容ですね。
それを行わない場合は、海賊版扱いしますよといお話です。
これは、原作重視のストーリーじゃなくても、
オリジナルとかがメインのお話でも、海賊版扱いにされる
可能性があるので、しっかりと明記の必要がありそうです。
3.二次創作の利益も責任も二次創作制作者
「二次創作作品の著作権は、二次創作者に帰属し、そのいかなる利益も許諾する」と書いてあるので、利益とかは出してもOKみたいなようですね。
同時に「製作・販売・配布・上映等に伴う責任は、全て二次創作者」ともありますので、責任はしっかり持ちましょうというお話です。
個人的には、同人制作者って、大きな利益出しても、納税とかもされていない方多い(多分知らないからだと思うけど)印象があります。
どうしても同人って、趣味の延長で考えている方多いので、お金のやりとりから発生する責任の重みについても、考える機会になるんじゃないかなと感じました。
あと、面白いなーと思ったのが
「新人賞とかに応募OK」と「期間限定の制定等、ホールドアップ編」でしょうか。
新人賞応募とかは、面白い仕組みですね。元々冲方丁さんはクリエイター育成にもすごく意識された考えを持っている方なので、冲方丁さんらしい、大胆な許可ですね。
人によっては、「新人賞ってネタ案だすことも重要なスキル」と思う人もいるかもしれません。その通りな気もするんですが、新人賞=小説家発掘というイメージだけで固めるとそうなると思うんですが、元ネタをうまく広げる脚本家とかシナリオライターとかの発掘に広がる可能性もあるという点では、クリエイター育成に大きく繋がる可能性のある、面白い試みなんじゃないかと思います。
また「ホールドアップ編」もすごく面白いですね。
期間限定を制定することで、フィギュアの版権申請制度みたいな
イベント限定なんかもやりやすくなって、出版社などの
原作者以外の希望に応じた、様々な制度が出来そうですね。
もしかすると、近い将来、
「新刊発売関連企画、二次創作募集~」なんて感じで、
新刊発売後の1ヶ月限定で二次創作をやろう!
みたいな宣伝企画なんかやってくれる出版社が
出てくれると、二次創作で応援したいという二次創作クリエイターと
作品の宣伝に二次創作を使いたい!という出版社の意志が
がっちして、win-winなイベントも出てくるかもしれません。
今回は、原作者としての冲方丁さんがOK出しているだけみたいなので、
これからはこの原作者提案を踏まえ、出版社がどう対応していくのかが、
すごく注目なんじゃないでしょうか。
特に冲方丁さんがやっている「冲方サミット」は
角川さんとも繋がりあるので、角川さんの対応がすごく注目ですね。
特に先日、角川さんは、ニコニコのドワンゴとも統合を発表されました。
ラノベ原作で有名な出版社を数多くグループに持つ角川さんの動きに注目ですね。
あと、今回は二次創作をプラスに開放したクリエイターさんというだけではなくて、ぜひとも、冲方丁さんの二次創作に関する考え方も、ぜひブログ等を見て知ってもらえればと思います。
個人的にも冲方丁さんと同じような考えが強く、同人誌市場が大きくなっている現状で、放置しっぱなしの世界って、すごく危険な状況だと思うんですよね。
また、危険なのと同時に、同人制作が持つ「人材育成」の機会を失っている面もあると思うので、「出版不況」を打開する一手になる可能性もあると考えています。
私は大学の研究が二次創作関係の営利利用みたいな感じだったので
色々と著者兼マンガ学校の講師の方や出版社の方、画像投稿のサイトの方などにお話を聞いた経験もあり、どの立場も利害があり、確かに二次創作整備はすごく難しい問題だと思っています。
ですが、難しい問題だからといって、時間が解決するようなものでもなく、
時間経過で逆に大きな問題も発生する可能性もあるんですよね。
どうしてもこういう大きな問題って、出版社とか、著名な作者さんが
動いてくれることとかを祈ったり、こうやって紹介することで応援することしか出来ないと思っています。
いつか同人も原作も公に仲良く出来る世界が来れば嬉しいので、こういうルール決めの情報。厳しい・厳しくないかかわらず、今後も色々と出てくれると、うれしいなーと思う今日このごろです。
さて、最後になりますが今回の情報をわかりやすくも
取り上げているサイトさんがありましたので、
そちらのリンクも貼っておきたいと思います。
■IT media ニュース
冲方丁さん、自作の2次創作“全面解禁”を提案 「グレーゾーン」ではないあり方の模索