今回、エロRPGのレビューとして紹介していくのは2020年に発売の非戦闘RPG「悪魂入りのカティ」です。
村人に話しかけていくことで、情報を得て、問題を解決していく探索型のRPG。強力な自衛力を持ちつつも優しいヒロインの弱みにつけこみ、「脅迫に屈するかもしれない探索型RPG」をウリにしているエロRPGです。
卑猥な行為に屈しないトゥルーと思われるエンディング、尊厳ルートを5時間20分程でクリアしました。途中ゲーム内ヒントを見てクリアした時間です。
やや購入前の印象とは異なりましたが、とにかく探索ゲームとして面白い!
街全体が見えてくると、意外なところで人と人とが繋がる感覚、ヒロインの成長、そして終盤一気に伏線が繋がり、尻上がりに楽しくなっていきます。非常に完成度の高い非戦闘探索系RPGでした。
人々のために卑猥な行為を嫌々シチュエーションを受ける選択肢が好きな方はもちろん、箱入り娘系のヒロインが劣勢から徐々に人脈を得て、行動に移るような展開。そんな物語が好きな人であれば、ゲームとしても非常に楽しめる可能性が高い作品です。
一方で、ゲーム性故に豪快に遊んでいくような作品や、何も考えずに虚無で遊ぶような作品が楽しみたい方向けの作品ではありません。じっくり遊ぶような作品ですが、ヒント機能の充実によるフォローもしっかりとしています。
本ページでは悪魂入りのカティの良い面・悪い面両面から、感じたポイントを紹介しながらレビューしていきます。初めて本作品を知った方はもちろんのこと、購入を検討中の方も自分にあうゲームかどうかがわかること間違いないはずです。
「悪魂入りのカティ」のストーリー
悪魂入りのカティの主人公・カティの父は元市長。世俗から遠ざけられて育てられた箱入り娘ですが、市長である父が教会の策略によって投獄されています。
そして彼女自身には、自身に危機が迫ると内なる悪魔が力を振るう「悪魂入り」という存在でもあります。そのため、数日後に街を追放されてしまうことになってしまいました。
父との仲も良くなかったカティは追放を受け入れます。しかしながら、教会側は市長側に恨みもあり、カティが大切にしていた母の形見を隠されてしまいます。
形見はすでに町の数名に配られてしまいます。主人公カティは、町の人々から信頼を勝ち取り、形見回収を目指していきます。
「悪魂入りのカティ」のシステム
今作は探索ゲームです。戦闘がなく、村の人々に話しかけていくことで、形見を獲得するために情報を集めていきます。
イベント発生で進む時間、そして猶予
主人公カティは、街の追放日程が決まっています。町の人々と話しかけたり、働くことで時間が経過。一定期間になると、追放されてしまうため、追放期限までに形見を探していくことがゲーム目的です。
一日は昼が6コマの、夜が4コマの時間が表示され、イベントやバイトで基本1~2コマずつ減ります。夜はお金を払わなければ外出できないので、メインとしては昼の6コマ分の時間を使って探索します。
そして、町の人々のお願いを聞いたりすると、スタンプがもらえます。このスタンプを貰うと、滞在できる日数が増えていきます。
一日に決まった行動の範囲で情報を集め、問題を解決。問題解決などでスタンプを集め、滞在期間を延長しながら、目的の形見を探すことになります。
信頼と尊厳で正しく進むメインのルート
目的の形見は、それぞれ別の問題で困っている人々に配られています。主人公・カティが「悪魂入り」ということもあり、最初は信頼されません。
問題を解決したり、信頼を得る行動をすれば徐々に協力者も増えていきます。そこで重要なのが尊厳というステータスです。
正しい行動を行うことで尊厳は上昇。ある程度尊厳が上がることで、より深い情報を得ることもできるようになります。
完全に信用を獲れば、異なる問題で出会った人が、別の人の問題で助けてくれることもあります。うまく尊厳を高めつつ、一人ひとりの問題を解決していく。そして、時に詰まったら別の人の問題を解決して、力を借りていくといったことも重要になってきます。
尊厳を失い、淫らな行為で問題を解決する
尊厳と信頼を活用する方法以外にも体で問題解決できる場合があります。
教会の目的は、自然と困っている人を助ける主人公の行動を利用して、尊厳をボロボロにすることです。大きな問題を解決するために「露出して広場に行く」といった辱めを受けるような方法での解決を提示することもあります。
また、通行証の発行など、お金がかかるような出来事では、「体」を使って提供してもらえることもあります。
みだらな行為をすることで、簡単に問題は解決できる場合もあります。しかし、淫らなことを行えば、尊厳が落ちてしまいます。
正しく信頼を勝ち取るか、淫らな行為で躰を汚していくか。プレイヤーに選択が委ねられます。
「悪魂入りのカティ」の長所と短所に感じたところ
悪魂入りのカティあは探索ゲームして完成度が非常に高いです。一方で、探索ゲーム故に難しく感じることもあります。良さに感じる面・悪さに感じる可能性がある面、両面から紹介していきます。
「悪魂入りのカティ」の長所に感じた点
悪魂入りのカティは本格的な探索ゲームとしての楽しみ、そして信頼を築く良物語が魅力です。さらに詰まった時・サクサク進めたい時のヒント機能も充実している点が長所と言えるでしょう。
街を舞台にした本格的な探索ゲーム
今作は、問題を抱える人々を探し、その問題解決のために別の人に話しかけたりすることで解決の糸口を探っていく非戦闘型のゲームです。
基本は話しかけていくだけという内容にはなりますが、制限時間の概念やコンパクトに纏められた街のマップで、「いかに計画的に進めていくか」「誰が解決に役立つのか」を考えていくのが非常に楽しい作品になっています。
スムーズに次やることが分かる場合もあれば、ちょっとした設定や接点が役立つこともあります。イベントも多く、序盤はサクサクと進んでいき、中盤からは少し考えていくことが増えていき、終盤は「この設定はここで使う設定だったのか」と思うようなこともあり、問題が進展する楽しみがなんとも言えません。
信頼を築き上げていく良物語
そして、問題を解決できたことによって、他の人の問題でも協力してくれる人がいる点が面白いですね。今作は、悪い人と良い人が区切られており、悪い人はとことんゲス。いい人は、惜しみなくいい人たちです。
これは、ただ単に物語の都合上仲良くなるというわけではなく、主人公が見返りも求めずに協力してくれる優しさがあるからです。ゆえに、後半主人公のために行動してくれる仲の良い人たちもかっこよく見えます。
主人公自身は当たり前のことをやっているだけ。その当たり前が徐々に繋がりを作り、人脈となっていく姿は非常に魅力的でした。トゥルーの最後は大団円のような印象もあるので、ぜひ最初は尊厳を高めるようなメインの物語を楽しんでもらいたいぐらいの作品です。
メモやヒント機能が充実
一方で、複雑な探索ゲームでもあります。しかし、難しさも便利機能でなんとか改善しようとしてくれている配慮が行き届いています。
メモ機能があるので、現在進行中のイベントを把握しやすくなっています。さらに、お助け要素で用意されているヘルプ系の部屋では、何をやれば良いのかに役立つ大きなヒントもくれるので、わからなくなったらヒント部屋を活用することで一歩ずつ進んでいくこともできます。
手応えある探索ゲームにしつつも、詰まってクリアできないようにしない、このサポート面は非常に好感を持てる作品です。
「悪魂入りのカティ」の短所に感じた点
悪魂入りのカティの短所に感じる点は、長所の裏返しでもある「手応えある探索ゲーム」という点に集中している印象があります。詳細を紹介していきます。
基本は話しかけていくだけのゲーム性
基本のゲーム性は話しかけていくことで問題を数珠つなぎにしながら解決していくことになります。簡易的なスキルチェックのような要素や、ゲーム用語クイズ的なものもありますが、あくまで一部のポイントだけであり、戦闘のような華やかさがある作品でもないです。
そのため、テンポや演出による爽快感を求めるような作品ではありません。
物語の世界観を掴まないと解決は難しいかも
また、問題解決には人々の協力も必要です。
物語に登場する人物や、世界観が重要になるケースもあるので、ヒント無しでクリアしようとすると、しっかり物語を呼んでいく必要があります。暗記するまでの必要はありませんが、ふわっと各人物がどのような背景を持っており、どういったことが得意で、どういった過去や設定なのかは軽く認識していく必要があります。
もちろん、詰まってしまったらヒント見れば解決することも多いです。ガチでやろうと思うと難しさもあると思うので、自分的にはまずノーヒントで進みつつ、わからなければヒント部屋に頼るぐらいの気持ちで遊ぶ、ゆるい遊び方をオススメします。
「悪魂入りのカティ」の各視点からの評価
「悪魂入りのカティ」をゲーム性・エッチ面・コスパの3視点から、6段階(SS/S/A/B/C/D)で評価していきます。
「悪魂入りのカティ」のゲーム性
良くも悪くもアドベンチャーゲームですので、RPGやアクションのような操作感や豪華さはありません、
しかし、アドベンチャーゲームで見ると、コンパクトに纏めた街の中にそれぞれの問題を抱えるような人物をうまく配置し、環境を覚えながら解決に挑んでいく要素はアドベンチャーゲームとして非常に完成度が高いように思えました。
良くも悪くも話を聞いて、手助けに奔走して大きな問題を解決していくタイプのゲームです。その一つのジャンルとしての完成度が高いです。
「悪魂入りのカティ」のエッチ面
悪者と良識者が大きく分かれており、かつエッチシーンは明らかに悪い解決をしなければ見ることができないものが多いため、エロと真面目両極端に分かれている作品です。ゆえに、エッチしながら進めるというようなことはできませんし、中途半端に進めてしまうと、どっちつかずになってしまう点は注意が必要な印象もあります。
しかしながら、悪い人はゲスな提案を行うため、真面目なルートで遊んでいても「後で見たくなる」ような提示が多いです。ゆえに真面目に進んでいく過程で、クリア後に見たいと思える楽しみをとっておけます。
やや王道的なエッチシーンが多く、主人公らしさは少し弱い気もしますが、エッチシーンの質自体は良く、ボリュームもシーンベースで40種類超え。ライトなプレイや一般的な回想も含め、全45種類ですが、しっかりと見れる数が用意されているので、不満点はありません。
エッチ周りに関しても良心的な完成度に感じられます。
「悪魂入りのカティ」のコストパフォーマンス
定価ベースで2000円という比較的高単価の作品となります。ゲーム性の幅の広さはRPGと比較すると低いでしょう。何度も遊ぶような作品でもないとは思います。
しかしながら、しっかりと一つ一つの設定が深まっており、世界観もよくできています。自分としてはもう一回頭を空っぽにして遊んでみたいと思えるぐらいの完成度で、この価格でも買ってよかったと十分思えるような物語性とアドベンチャーゲーム特有の遊びごたえがある作品に思っています。
エッチシーンもしっかりとしていますし、シンプルなゲーム性のゲームをとことん突き詰めている作品のように思えるので、作品クオリティの良さも考えれば、十分なコストパフォーマンスに思えます。とにかく安く長くという作品よりかは、高くても価格相応のクオリティ以上にコストパフォーマンスを重視する人向けの作品に思えます。
「悪魂入りのカティ」の個人評価
9点
人々に話しかけていくだけの女の子主人公ゲームを突き詰め、シンプルな探索アドベンチャー的な面白さが光る作品。
世界観やストーリー、手応えのあるゲーム性が非常に光り、一方でヒント機能やエッチシーンの匂わせも非常によくできており、問題を解決していく楽しみと、エッチの期待、そして徐々に信頼を勝ち取っていく姿が見えていく良物語。
探索的なアドベンチャーゲームが好きであれば、非常に楽しめる可能性が高い作品です。
悪い点をしいてあげるのであれば、中途半端に進めてしまうとエッチも物語も中途半端になってしまうことでしょう。ゆえに、個人的にはわからなくなったらその場でヒントを活用するぐらいの遊び方をした方が今作を最大に楽しめるのではないかと思います。そういった妥協点を入れてでも見てほしいぐらい、信頼同士が繋がり合うような様子や、終盤の勢いが良い作品です。
まずは一通り真面目に進めてから、二週目やクリア後にヒロインが淫らになる姿を楽しみたい方、手応えあるアドベンチャーゲームが好きな方であれば非常におすすめできる作品です。
嫌いな人は嫌いな要素のあるゲームでもあるので、少し価格を抑えめにしています。逆に言えば手応えある探索アドベンチャーゲームに理解がある人であれば、ぜひ手にとって欲しいと思える高水準な完成度のエロゲだと感じます。
「悪魂入りのカティ」のゲーム情報
制作ソフト:
RPGツクールMV
原作:
オリジナル
難易度傾向:
ちょいムズ!
ボイスの有無:
ボイスなし
やり込みシステム:
- マルチエンディング